INDEX(非常口)

グランセルにて 1.

  中天に浮かぶ太陽に一際ぬくもりを感じさせる初春の王都。同じように天空に浮かぶ巨大な 島に人々は惑いながらも、歴史を紡ぐその足並みを止める事は無い。
  幾らかの不満を身に抱えながら尚、その先にある何かに惹かれるように一日を模索していく。
 女王アリシア二世の布告は民衆の希望を孕み、微かな期待を乗せて、四海を駆ける。
 「おら、なにしてやがる。いくぞ。」
 「ふぇぇ。」
  うー。今日の日記を書いてた私の背を軽く(あくまでアガットさん基準で)叩いて、返事も 待たず、部屋を後にしてく。
  エステルお姉ちゃん達が零力場発生器を配達する間、私とアガットさんはギルドでお留守番。
 もちろん、何もしないわけではなくて、街を見回ったり、困っている人を助けたり。

  ------少し時間を遡り、ギルドの受付。------
 「アガットさん、今日の巡回は東街地区をお願いします。」
  女王陛下のお達しで無料化した歴史資料館や、営業を続けるアイスクリーム屋台、百貨店な ど人の足の回復した所っと言っちゃあいるが。
 「・・・、つまりは、がきんちょの機嫌をとれ、と。」
 「察しが良くて助かります。」
  ふん、何言ってやがる、スマシたツラしやがって。
 「まぁな。オーブメントが止まっちまったのを一番つらく感じるのはアイツだしな。」
 「はは、流石によく理解して・・・。」
  皆まで言わせず、目で圧する。
  ったく、どいつもこいつも。
 「それでは、宜しくお願いします。」
 「あぁ、見回りのついでにならな。」
 背中で苦笑するエルナンに舌打ちしながら、階上に足を運んだ。

  例年よりもやや厚着の人並みにもまれ、変わらぬ賑わいを見せる街を・・・、えーん、アガッ トさん、歩くの早いよぅ。
  大目に見て七割、うぅん、半分ぐらいなのかな、足りない歩幅を回転数で補う。
 てくてくてく・・・、ドシン! いたたた。
  急に立ち止まるアガットさんの背中、もとい、腰の辺りに鼻をぶつけてしまう。
 「ほら、」 
  そう言って手を差し出す。てっきり呆れられてしまうと思ってたのに。
  思わずジッと見つめてしまうアガットさんの手に、はぐれんなよ、と一言。
  うぅ、ずるいなぁ、もう。いっつもイジワルなのに。時々優しーし。
  ちょっと思案。うん。ずるいのは一緒。アガットさんの優しさにとことん甘えて。
 「うわ、コラ待て。なに引っ付きやがる。」
  思い切って、しがみついちゃう。えへへ。
 「・・・ったく。」
  へーんだ、どーせ恋人同士には見えないんだもん。
  でも、うん、いつもならひっぺがされるのに。
 とてとて、と。歩きづらそーなアガットさん。すごくゆっくり目に。
  力を抜いたおっきな腕が、涼しー風の中で、殊更にあったかいかも。


JJJさんより、同盟参加のときに頂いてしまいましたと言いますか、一緒に書かれていたので強奪してまいりました。
ティータがかわいくて、最後のアガットさんの台詞にどっきりです。4年後だと、ティータもしっかり乙女なんですよね。
JJJさんどうもありがとうございました。
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