INDEX(非常口)

グランセルにて 2.

柔らかな日差しを照り返すアスファルトに、王都の人々の足跡が刻まれていく。
 混迷を呈した街も緩やかに落ち着きを取り戻し、困難な中にもその生き様を見せ付ける。

  共和国大使館前。見覚えのある兵士さんが、微笑みかけてくれる。
 あはは、私みたいな子が大使館を訪れるのは無いようで覚えられてしまったのかも。
 腕を組む(?)格好のアガットさん、仏頂面で通り過ぎる。

  グランアリーナ前には人だかり。演奏、露店、パントマイム。皆、自分の形を示してて。

  百貨店脇の公園で、休憩を提案してきたアガットさん。
 「あのあの、・・・アイスクリーム屋さん・・・。」
  駄目もとで頼んでみる。・・・・・・じー。
  こめかみ、ピクピク。でも、何も言わず、お店のほうへ。・・・やったぁ。

  ったく、なんだってんだ。
  相変らずの行列。女共の黄色い声。くそっ。
  明らかに場違いな居心地の悪さを噛み締め、順番を待つ。オイオイ。んな真剣なツラしてん な。
  散々悩んだ挙句、こてこてと積み上げられたアイスの塊を受け取って・・・。
  ・・・いや、俺はいらんっつーの。
 「うー。アイス、おいしーのに。」
  わーった、わーった。ひとりで喰え。
  にっこり笑ったかと思えば、
 「はい、アガットさん。あーん。」
  ・・・コラ待て。
  いつの間にか、というか、初めから居たギャラリーから、きゃーとか、いけーとか・・・。
   こぶし突き上げてんじゃねぇ! なんだそのサムズアップはッ!!
  帽子の尻尾を捕まえて、強引に引っ張り、その場を去る。
  ・・・くそ、うしろのほうではまだ、えーだの、いくじなしーだの、と・・・。

  雑踏から逃れるように佇む、割と穴場の百貨店となりの公園。腕を組んで怒ってるようなア ガットさんに並んでベンチに腰掛ける。
 「あの、ありがとーございます、気をつかってもらってるん、ですよね?」
 「・・・ついでだ、ついで。基本は巡回だ。」
  いつものぶっきら棒な口調、えへ。最近、そーゆートコも好きかも。
  表向き平穏を装うリベールの、水面下では大変なことが起こってて。
  ずっと、気の休まらない戦いが続いてて、でも・・・。
 「えへへ。」
  少しは幸せを感じててもいいよね。


 「・・・。ガキがムリに愛想笑いなんかすんな。・・・たまになら、こうしてやるから。」

  ・・・・・・。
・・・・・。
・・・・。
  ・・・やだ。
  気付かない様にしてた思いがこみ上げてくる。ツァイスの皆の事とか、おじいちゃんとかお とーさん、おかーさん。どんどん、溢れてきて。

 「―――ほんとは、こんなになっちゃって・・・・・・、今まで皆で造ってきたものとか、お じいちゃんの発明とか全部、全部どーにかなっちゃうのかなって。すっごく不安で・・・。」
  言いかけて、言えなくなって、ぐるぐるする頭の上に手が被せられた。
  一言、行くぞ、って。



JJJさんより、同盟参加のときに頂いてしまいましたと言いますか、一緒に書かれていたので強奪してまいりました。
ティータがかわいくて、最後のアガットさんの台詞にどっきりです。4年後だと、ティータもしっかり乙女なんですよね。
JJJさんどうもありがとうございました。
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