INDEX(非常口)
グランセルにて 3.
帝国大使館の角を発着場の方へ曲がる。見えてくるのは、歴史資料館?
込み上げてくる涙にぼやける景色の中、手を引かれるまま、入館する。
人波に紛れ、展示されている館内の一つ一つが、目の前を通り過ぎて行く。
やがて、近代の資料に行き着いた辺りで、行列から一歩外れる。
疑問を胸に見つめる私を、右手が首の後ろを回って肩に、左手が頭の上にぽんと置かれる。
胸の中、というには差がありすぎる身長差の、それでも抱き締められた腕の中で。
「・・・見えたか? オーブメントっつったって、ついこの間、ジーサン達がつくったモンだ。 」
「その前は、ンな物も無しに生きてたヤツばっかだったんだ。」
無けりゃ無いなりにな、って。
「皆に冷ややかな目で見られながら、でも、ジーサンらは、こんなもんまでつくっちまった。」
「いつの間にか、無くちゃ生きられねーって思わせるぐらいにな。」
「・・・スゲェよな、お前ン家のジーサンはよ。」
「でも、オメーだって・・・、」
「―――ますか。」
「あ?」
「オーブメントが無かった頃みたいに、寒い日にはこんな風に暖めてくれますか。」
「・・・・・・。」
「私無しじゃ生きられないって、アガットさんを思わせられますか。」
「・・・元気でたんなら、出るぞ。」
むー、やっぱり、イジワルだ。最後までこの気持ち、責任とって欲しーのに。
「待ってください。 もうちょっとだけ。」
「フザケンナ。帰んぞ。」
「ふんだ、アガットさん、意地っ張りで、・・・素直じゃない。」
「なにがスナオジャナイだ。ガキは帰ってとっとと寝ろ。」
「・・・一緒に?」
「 !!! 」
「あーん。ごめんなさーい。」
「ッたく。」
「・・・で、私だって?」
「・・・・・・。あ?」
「さっきの続きです。おじいちゃん達、の後。言いかけた言葉って?」
「・・・おまえ、メシ抜きな。」
「 ! え、え、え、おごって頂ける予定だったんですか?」
「抜きだ、抜き。帰るぞ。」
「やーん。」
西街地区。カレー屋さんパラオ。
ほこほこじゃがいも。とろけるお肉。とってもすぱいしー。
おなかいっぱい。結局、話してくれないアガットさんは食後のコーヒー。
私は、キャラメルマキアート。
シックなお店に、ランプの灯火と月の明かり。
「苦くないんですか?」
「・・・アホか。」
ねだって、一口。やっぱり苦い。どーって事も無い風に飲むアガットさん。
でも。・・・・・・間接キス?
お店を後に、帰路につく私達と入れ替わり、ナイアルさんとドロシーさん。
冷やかす二人をうっとーしげに追い払い、帰り道に一言。
「今日だけだからな。」って
あー、もーもーもー!!。最後までいい気持ちでいさせて欲しーのにー。
JJJさんより、同盟参加のときに頂いてしまいましたと言いますか、一緒に書かれていたので強奪してまいりました。
ティータがかわいくて、最後のアガットさんの台詞にどっきりです。4年後だと、ティータもしっかり乙女なんですよね。
JJJさんどうもありがとうございました。
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