INDEX(非常口)

アガット包囲網

  変わらない、機械仕掛けの街並みを見せるツァイス市内を懐かしげに眺めながら。
 ギルドの扉に手をかける。

 「・・・来たわね。アガット。」
 振り向きもせず、緑の黒髪の向こうで、その瞳を閉ざしたまま、キリカが語りかける。
 「へっ、変わんねーな。・・・で、ご指名の依頼ってーのは?」
 お互い余計な言葉を交わす人間ではない。カウンター越しに向かい合い、挨拶も無く本題に入 る。

 「・・・はぁ、はぁ、お待たせしました、キリカさん。」
 時を経ずに、金色の髪に真っ赤な帽子を被ったティータが現れる。
 「おう、久しぶりって程でもねぇか。」
 気安げに話しかけるアガットに、やや申し訳なさ気に俯きながら、呼吸を整える。
 「依頼人も現れたことだし、説明させていただくわ。」
 「は?」
 要領を得ないアガットに言葉を続けるキリカ。
 「そうね、先ずは、魔獣退治でもしてもらおうかしら。」
 「なんだそのとって付けたようなのは・・・。つかなんでガキンチョが依頼人なんだ?」
 「ふふ。そうね、まぁ、優秀な遊撃士が二人も旅立ってしまったから、あなたを呼んだってと ころかしら?」
 「せつめーになってねぇぞ。」
 ギラッと目を光らせる、過去幾度も相手をたじろがせてきた気合を込めた眼光。

 「あのあの、ご、ごめんなさい、私が・・・。」 「あぁ?!」 「・・・それと」
 三人の言葉が重なる。
 「未来の優秀な遊撃士のため・・・かしら。」
 「・・・てめー。」
 「誤解しないで。」
 「オーブメント技術に精通し、間接攻撃を主体とするサポート系の人間には、」
 「・・・経験豊富な、前衛を務める人間が適任と判断したまでのこと。」
 勿論、過去の出来事を踏まえた上で、と付け加え。

 「くっ、なら、他にも、」
 「残念ながら、手の空いた者が捕まらなかったの。」
 「俺だって、暇じゃねぇ。」
 「でも、ココまで来たわ。」
 「名指しで呼んだんだろーが。」
 「忙しければ、それでも来れなかった筈ね。」
 特にロレントを避けるようなあなたの場合、と。
 「・・・とっとと片付ける。」
 「えぇ、そうして。」
 「・・・二度とツァイスの依頼は受けねーからな。」
 「ふふ、アガット、あなた、ギルドの通信網を侮っているのかしら?」

 「リベール国内はもとより、大陸中の支部にもう手配済みよ?」
 「えへへ・・・。ごめんなさい。アガットさん・・・。」


 その日、アガットの叫びは、遠くハーケン門にまで聞こえたという。



JJJさんより、同盟参加のときに頂いてしまいましたと言いますか、一緒に書かれていたので強奪してまいりました。
ティータがかわいくて、最後のアガットさんの台詞にどっきりです。4年後だと、ティータもしっかり乙女なんですよね。
JJJさんどうもありがとうございました。
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